手すりの取り付け
一口に手すりといっても、いろいろな材質、握り、質感や強度があります。 木製、樹脂、アルミ、丸型、肘掛用、立ち上がり用のタテ型、つかまりと立ち上がり両方に対応できるL型手すり、トイレの座位保持用に用いる跳ね上げ式手すりなど・・・ 基本の形状は丸型ですが、手すりを握らず手や肘を滑らせて移動する方法も考えられるので利用者の状況に応じて必要な形を検討します。 手すりは介護リフォームの基本ですが1本の手すりが自立を可能にし、くらしを安全にすることも多いのです。しかし、手すりの選択や取付位置を間違うと、邪魔になったり、かえって危なくなったりもします。 たかが手すり、されど手すり 結構奥が深い物です。今は色々な種類の手すりが沢山ありますので身体の条件、住宅の条件を考慮して最適な手すりを取り付けていきます。 |
手すりの取り付け
手すりの設置は歩行や階段昇降時の転倒防止、出入り口や立ち座りを補助するために適切な位置に手すりを設置します。体格や障害に合わせた高さや角度、次の動作に移りやすい支点を考慮します。
高齢者・障害者の障害・疾患・生活状況に応じた手すり取付工事事例集

■廊下の平手すり工事
右図の手すりは握力に支障がある高齢者の方に適している支える手すりです。ひじや手のひらで支えることができる平手すりで、質感と色彩の統一も考慮した、温もりのある木製です。平手すりの場合は普通の高さより少し高めに設置します。
手すりがあることで安心でき、行動範囲が広くなりますね。

■浴室の手すり工事
浴室の手すりは水回りで事故につながるケースが多いため、特に気をつけながら設置します。浴室入口の扉の脇に縦手すり、洗い場では、身体を洗う際の保持用と浴用いすから立ち上がりに兼用できる手すりを選びます。浴槽脇手すりはまたぐ際に身体をしっかり支えられるものにします。浴槽内にも脇に手すりを付けることで身体の軽い方などの浮きを防止させることができます。お風呂は気持ちよくリフレッシュできる場所だからこそしっかりと安全にしておきたいですね。

■トイレの手すり工事
トイレ手すり設置の基本事例です。手すりの設置に際しては、利用者の身体状況に合わせ、次の動作に移りやすい位置を考慮します。トイレは住宅生活の円滑化に重要な場所です。
立ち上がり、つかまり両方の役目を持つL型手すりがよく使われます。足腰の弱い人程、頭を前に傾けると、立ち上がりが楽になるため、縦型手すりは少し便器から離れた位置に設置すると効果的です。

■玄関の手すり工事
玄関の上がりかまちは一番段差があるため、式台を設置することで昇降がかなり楽になります。手すりと式台をセットで置くことが一般的です。式台も介護保険の対象商品ですが、しっかりと固定しなければいけません。移動できる式台ですと対象にはなりませんので注意してください。
段差の昇降、履物の履き替え時の姿勢保持、立ち上がりの補助など各場面必要な位置に設置します。
床段差の解消、床、通路の材料の変更
介護リフォームで特に大切な工事は手すりの取付と段差解消工事だといわれています。 最近は住宅部品や設備機器の性能も向上しているため、ほとんどの段差は解消できます。 下図のように全面バリアフリーにする場合は合板などで、かさ上げしたりフローリングの下の根太を高くします。 水回りの段差解消は特に重要です。滑りやすいうえに段差があるため足の弱いお年寄りには特に危険な場所です。しかし賃貸住宅など改修が困難な場所にお住まいの場合、浴室すのこを用いて段差解消ができます(浴室すのこは福祉用具購入対象品です)のでお気軽にご相談ください。 |
床段差の解消、床、通路の材料の変更
日本家屋は高齢者、障害者にとって住みにくい環境が多いのが実情です。ちょっとした段差でつまづいて大ケガにつながる事故は意外に多いのです。
車いすで生活することになった場合は玄関、床段差、階段、トイレ、お風呂など段差だらけで本来自立できる所まで介護が必要になってしまいます。
事例集

■すりつけ板の設置
畳床とフローリング床との敷居の段差は高齢者や障害者の移動動作を大きく阻害します。
右図はすりつけ板を用いたものです。段差解消工事の中では一番安価で簡単な方法です。お年寄りは数ミリの段差でも、つまづいてしまい骨折して寝たきりになる事もあります。
安全な環境をちょっとした気配りで作ることができます。

■スロープ設置
右図は車いす移動のため玄関アプローチ階段わきにスロープを作りました。スロープ設置に関しては、スロープが急勾配になり危険な場合は段差解消機を用いることもできます。
(段差解消機は介護レンタル可能です。)

■浴室段差解消
浴室は滑りやすく、段差があると大事故につながる可能性があります。段差解消をしておきたい場所の一つです。入口の幅は、介助や、車いすの出入りをスムーズにするためにも広い開口幅があると良いでしょう。在来浴室と脱衣室の境目は排水口となるグレーチングが設置されますので流水の心配もありません。
また、浴室は床材にも気を配る必要があります。乾きやすく、滑りにくい床材を用いました。
引き戸などへの扉の変更
扉の改修ってどこまでが、介護保険の対象なんだろう? 引き戸などへの扉の取り替えには、開き戸を引き戸、折れ戸、アコーディオンカーテンなどにとりかえるといった扉全体の取替えの他、ドアノブの変更、戸車の設置などが介護保険の住宅改修費の支給対象に含まれます。 ただし、扉の取り替えに併せて自動ドアとした場合は、動力部分の費用相当額は介護保険の給付対象とはなりませんのでご注意下さい。 |
引き戸などへの扉の変更
開き戸は、開閉に際して身体の移動が大きく、場所もとってしまうため引き戸にすると便利でしょう。
引き戸は車いすでも簡単な動作と力で開けることができます。扉の変更、開閉を容易にするための戸車の変更や出入り幅を広くすることは、高齢者にやさしい暮らしをもたらすことでしょう。
扉が内開きになっていませんか?
トイレでは、介助を必要とする方や車いすの方は、広い出入り幅が必要となります。引き戸にすることで余裕のある移動とスペースが確保されます。内開きになっている扉は、中で緊急事態が起きた時、外から開けられなくなり大変危険です。引き戸に変更することにより開けてすぐに手すりにつかまる事もできてとても安全です。実際に当社が手がけた工事をご覧ください。
事例集

■扉の変更
右図のお宅は玄関の開き戸を引き違い戸に変更しました。開口幅が広くなり、車いすの出入りも容易になります。また、ドアノブをバーハンドルに取り替えることで、高齢者は簡単に扉を開閉することができます。戸車が設置してあるので開閉に力がいりません。

■開口部の確保
最初から引き戸になっていても、開口部が狭いと車いすが通れません。右図のお宅は開口部の確保のため、全面が開口できる扉に変更しました。間口が広くなり、車椅子も楽に通れるようになりました。
ちょっとした設備の変更で、くらしは大きく変るものですね。

■3枚引き戸
浴室は広く出入り口をとり、段差をなくし介助者や車いすが出入りしやすいように3枚引き戸にしました。割れる危険性のあるガラスは使用しません。下枠の戸車が埋め込まれているのでスムーズに開き、段差もないので車いすも安心なスペースを確保することができました。

■丸ノブをレバーハンドルに
ドアノブは、握って・回して・押し引きして開閉するという、3つの動作をいっきに行います。指先の力が弱くなった高齢者や手に障害のある人にとっては大変な作業になります。
レバーハンドルは、手をかけて下げ、押し引きするという2つの動作に減らすことができ、力もそれほどいりません。
レバーハンドルに変えるだけで、移動の際の負担が軽減できます。
洋式便器などへの便器の取替
便座面は足がつき安定する高さが望ましいです。 便器に座っているとおしりが痛くなる方は、やわらかい補高便座を設置することができます。 |
洋式便座などへの便器の取替
住まいの中でのトイレの重要性は言うまでもありません。頻繁に使われるからこそ、安全で清潔感のある空間にしたいものです。
高齢者や障害者の方にとっても、トイレは自立して使用できるのがもっとも望ましいことです。身体機能の低下を防ぐ用具を上手に活用することで自立できるようになったり介護を軽減できます。
トイレづくりの前に知っておきたいこと
1. | 配置は寝室の隣が理想的 |
2. | 立ち座り、移動をしやすく |
3. | 動作が安定する工夫を |
4. | 機器(ウォッシュレットや紙巻器など)の操作は単純に |
5. | 操作部は大きいボタンやはっきりした色などにする |
6. | 温度差をなるべく少なく |
7. | 排泄をサポートできる福祉用具を上手に活用する |
8. | 清潔感(掃除がしやすく、汚れがつきにくいものを選ぶ) |
事例集

■ウォッシュレット設置
毎日入浴できない方や身体が不自由なためにおしりを拭くのが大変な方はウォッシュレットが設置されている便器が良いです。ボタン一つでおしりや局部を清潔に保てます。(今お使いの洋式便座にウォッシュレットを設置する場合は介護保険の対象にはなりません。)

■水回りのワンルーム化
車いす移動や介助が必要な場合は空間を広くとる必要があります。
右図はトイレと洗面所をワンルーム化して空間を広げました。
換気機能や消臭機能の付いた便器を使うことで臭気にも配慮しました。

■跳ね上げ手すり
右図、便座の上にあるものは、跳ね上げ式の手すりです。必要な時だけ倒して、排泄時の座位保持が難しい方、長時間の座り姿勢を保つのが辛い方に設置します。
クッション性のある柔らかい背もたれを設置することもできます。排泄しやすい前傾姿勢の保持用手すりと、立ち座りの動作を楽にするタテ手すりを一体化したものです。